MENU

課題●IBM iとオープン系システムを安価に統合監視→解決◎オープンソースベースの機能豊富な統合監視ツール

オープンソースのZabbixに
多様な機能・オプションを追加

 IBM iをホストとして利用するサイトでは、多数のオープン系サーバーが使われている。しかし、稼働監視を行っているのはIBM iのみで、オープン系サーバーに対しては実施していないというユーザーは少なくない。実施している場合は、IBM iとは別に単独でオープン系サーバーだけを対象にしているか、JP1などの運用管理ツールを使ったIBM iとの統合監視である。ただし、JP1などはそれなりのコストがかかり(初期コスト+台数に応じたコストなど)スキルを要するので、中~大企業の利用に限られているのだが実情だ。

 IBM iサイトのオープン系サーバーは、かつては常時監視の必要性が低い情報系サーバーが大半を占めていた。しかし、オープン系サーバー上でクリティカルなシステムが構築・運用され、情報系サーバー自体も重要視されるようになるにつれて(業務の遂行に不可欠となり、障害が起きると重大な支障をきたす)、監視ニーズが高まってきた。

 とはいえ、オープン系サーバーを新たな監視対象に加えるのは、運用負荷の増大とコスト増につながる。そこで、IBM iと合わせて安価に統合的な監視を行いたい、とのニーズが広がってきたのが最近の事情である。

 ヴィンクスの「Integrated Viewer for Zabbix(以下、IVZ)は、こうしたニーズへの対応を目的に2014年末に製品化されたツールである。オープンソースのZabbixをベースに同社が独自に機能追加した製品で、Windows・Linux・UNIX・IBM iを一元的に監視できる統合ビューアや、マップビューと呼ばれる地図上の監視ポイントをドリルダウンすると詳細情報を表示する機能(図表1)、JP1やSystemWalker、Redmaine(インシデント管理)、LoadStar Scheduleer(ジョブ管理)との連携機能などをもつ。

 

 さらに昨年末には、AWSの各種サービスを監視する「AWS監視テンプレート」もオプションに加えた。オートスケールするEC2を自動的に監視する「Amazon EC2 AutoScaleing自動監視」など6つの機能を備える。

 IVZの特徴は、監視機能の大半がZabbixでありながら追加の各種機能により本格的な統合運用管理ソリューションを提供していること、さらにオープンソース・ベースゆえに安価で、かつ「世界初」(同社)のIBM iエージェントによりIBM iとオープン系システムとの統合監視が可能な点である。

 IVZはリリース以来、着実に販売数を伸ばしてきた。現在の総ライセンス数のうち「約30%がIBM i関連」と、運用プロダクト事業部の赤松正浩氏(運用プロダクト部第1課プロジェクトマネージャー)は話す。

 

赤松 正浩氏 株式会社ヴィンクス 運用プロダクト事業部 運用プロダクト部 第1課プロジェクトマネージャー

IBM i・AIX・Linux・Windowsなどの
混在システムを統合監視

 図表2は、ある金融系企業におけるIBM iとオープン系サーバーを対象にした統合監視の事例である。

 対象機器は、別々の拠点に配置されている2台のIBM i、4台のAIX、仮想環境で稼働する11台のRed Hat Enterprise Linuxと26台のWindowsサーバー、そして計22台のネットワーク機器。ネットワーク機器以外にはZabbixのエージェントを搭載し、リソース、サービス、ログなどを監視、ネットワーク機器にはエージェントを搭載せずにPingやSNMPで監視を行うシステムとした。

 一方、IVZ側は2台のサーバーを「アクティブ-アクティブ」で冗長化し、マスターで障害が起きた場合はただちにスレイブに切り替わる構成とした。また、障害を検知すると、即座にスマートフォンなどへ通知メールが飛ぶ仕組みである。

「このお客様は、IBM iのリソース監視や各種システムの死活監視が課題でしたが、IVZの導入により解決しました。分散配置しているサーバーやネットワーク機器類を、ロケーションやOSの種別に関係なく、一元的に常時監視できるようになっています。障害発生時にリアルタイムで通知メールを受け取れるので、初期対応が早くなったとの評価をいただいています」と赤松氏。「最近、こうしたシステムでの導入が進んでいます」と述べる。

 

 

 同社では現在、複数台のZabbixを統合管理する機能の開発を進めている。複数のシステムを複数台のZabbixで監視する場合、複数の管理画面が必要になるが、その画面を統合し、一元的に監視可能なシステムになる。IVZは2014年末のリリース以来、ほぼ毎年、機能追加を続けてきているが、また新しいソリューションが加わることになる。