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独学では得られない知識・情報が詰まったIBM iの研修コース ~連載|RPG Ⅳの魅力と可能性◎最終回(第14回)

2つのタイプがある
IBM i研修の受講者

「AS400 研修」でネット検索した人は多いのではないでしょうか。その検索で真っ先にヒットするのが、私どもアイ・ラーニング(i-Learning)です。

 アイ・ラーニングは2013年に、株式会社アイセスが、日本IBM人財ソリューション株式会社(IHCS)から研修事業の移管を受けて設立されました。IHCSはJES(日本研修サービス)、LSJ(日本IBM研修サービス)の名前でAS/400の時代からIBM iの研修を提供していましたので、20年前、30年前に私どもの研修を受講された方も多くおられるだろうと思います。私もはるか30年前、日本IBM大阪事業所でAS/400の前身であるS/38の研修を受講した一人です。

 IBM iやプログラミングに限らず、研修は人生の節目で受けることが多いのではないでしょうか。アイ・ラーニングでは毎年4月になると多くの企業の新人研修を実施しています。また転職、異動などで環境が変わったときは、これまでの知識だけでなく新しい知識が必要になり、研修が必要になる場合が多くあります。

 IBM iの研修も、とくに4月ごろは新入社員と人事異動でシステム部門の配属となりIBM iの担当となったという人が多くいます。IBM iは会社でしか操作できず勉強時間が限られるので、研修が果たす役割は非常に大きいと考えています。

 IBM i研修の受講者には、大きく分けて2つのタイプがあります。1つはIBM iをまったく知らない「初心者」、もう1つは、ある程度操作の経験があり、メッセージを見たりプリンタからスプールを印刷するなどのオペレーションを「何となく知っている」タイプです。どちらも運用に携る場合、どの研修を受ければよいかに悩まれると思いますが、アイ・ラーニングでは図表1のようなコース体系で研修を提供しています。

 

 

 

何から学ぶか、どのように覚えていくか
を理解できる「IBM i入門編」

 最初に受講していただくのは「IBM i入門編」です。ほんとうに簡単な画面操作やデータ操作の実習を行いながらIBM iに慣れ親しむのが目的の、1日コースです。内容が初級なので上司や先輩から「これくらいは自分で勉強しなさい」と言われ、この「IBM i入門編」を飛ばして「IBM iシステム操作編」から受講する人がいますが、そのほとんどの方が操作実習で苦労します。

 確かに「IBM i入門編」は初心者向けですが、何から学ぶか、どのように覚えていくかを体系立てて理解できる重要なコースです。自力で勉強したり上司や先輩から基本を教えてもらっても、どうしても知識が断片的になり、次のステップにつながりにくくなります。ここは簡単でも、初心者はぜひ「IBM i入門編」を受講したいところです。

「IBM i入門編」と「IBM iシステム操作編」を受講すれば、日常の運用オペレーションはほぼ習得できます。また、従来のQUERY、WebQueryを受講される場合も、「IBM i入門編」での基礎知識は重要です。

 

 

RPG ⅣとRPG Ⅲのコースがある
RPGプログラミング

 次に、開発者は図表2のような体系になります。

 

 

 RPGプログラミングは、RPGⅣの場合、バッチ・プログラム演習と対話型プログラム演習の2コースです。順番としてはバッチ・プログラム演習がRPGⅣの基礎で、対話型プログラム演習が画面を使用した中級編のような位置づけになっています。

 やはりこれらのコースを受講していただく場合も、「IBM iプログラミング入門」「IBM iデータベース演習」は受講しておきたいコースです。

 とくに「IBM iプログラミング入門」ではSEU、PDMを学習します。SEUをマスターしておかないとRPGのソースの入力は不可能で、RPGプログラムだけでなく、データベースのDDS、表示装置ファイルの作成などにも必要なテクニックです。

 これも慣れた人には簡単そうに思えてしまい、研修を受けるまでもないと考えがちですが、GUIに慣れた若い技術者が研修なしに5250画面上でSEUを操作するのは困難を伴います。「IBM iプログラミング入門」でしっかりとマスターしていただきたく思います。

 またRPGⅢは、RPGⅣのようなバッチ・プログラム演習、対話型プログラム演習の体系とは異なり、「プログラミング基礎編」「プログラミング実践編」の体系になっています。レポート(バッチ・プログラム)と画面(対話)という切り分けではなく、基礎編で簡単なレポートと簡単な画面を学び、基礎知識をより深められるようにしました。そして実践編で、業務に近いプログラミング・スタイルを学習していきます。コース日数もそれぞれ4日間になり、腰をすえてじっくり学習することができます。

 一方で、ある程度RPGでプログラミングできる場合はどこから受講すればよいか、という疑問をおもちの方は、RPGⅢは「基礎編」から、RPGⅣは「System i RPGⅣバッチ・プログラム演習」から受講し、基礎から勉強するのがよいでしょう。

 個人差もありますが、RPGでの開発に3年も関わっていれば、プログラミング入門は不要と思えます。CLプログラミングも、基本はマスターしているはずです。とはいえ、RPGの知識をある程度もっていたとしても体系立てて研修を受けるほうが、より理解が深まります。また講師にどんどん質問していただければ、基礎編の講義であっても、より高いレベルの質問にもお答えします。

 私自身の経験からも言えることですが、独学にはやはり限界があり、研修でないと得られない新しい知識、情報がたくさんあります。私も、現場を離れてIBM iの研修を担当するようになって初めて知った情報が少なくありません。仕事が忙しく研修スケジュールに合わせるのは困難なことがあるかもしれませんが、機会を作って、ぜひとも研修を活用していただければと思います。 

 

 

著者|中村 潤 氏

株式会社アイ・ラーニング
IT研修本部 IBM製品研修部
ラーニング・アドバイザー

[i Magazine 2017年5月号掲載]

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